このページの情報は 2006年12月20日14時22分 時点のものです。 |
知ってる
雨宮 処凛
アトピーの女王
この本には普通のアトピー性皮膚炎の患者さんが体験すると思われる「つらく・悲しく・絶望を感じる・そしてあきらめる」ということが記述されています。一般的にアトピーは死ぬ病気ではないし、もっとひどい病気で苦悩している人が大勢いるとか言われますが、この本を読めばそんなことを言える人はいなくなるでしょう。アトピー性皮膚炎がどういう症状を引き起こし、どのようにつらく、悲しく、苦悩の日々が悶々と永久に続いていくのか、的確にわかりやすく表現されています。また実際のアトピービジネスについても実名を上げ批判されています。P127には「重症アトピーのメッカ・土佐清水」に重症の弟が治療に行き、うちの弟にとってはまさに「命の恩人」だったとの記述があり、具体的な治療方法や費用が説明されています。P197には著者が治療に行った「北のアトピー天国」薄場皮膚科の治療や治療費について、やはり具体的な記述があり参考になります。薄場皮膚科は残念ながら最後に説明なしにステロイドの飲み薬が1日2錠7日分出されたのでがっかりしたと記述されています。二つの病院が特記してありますが、著者が弟の「命の恩人」の土佐清水病院に行かない理由は自由診療で費用がかさむことと、P206に記述してある薄場皮膚科では「食事制限」がないことが理由のようです。土佐清水病院では「動物性脂肪」を除去する和食を食べるよう指示があるためで食事が問題のようです。
笑いながら読める、という意見が多いようで…、冒頭の「ぬらりひょん」と「かまいたち」なんかはよくぞそんな言い得て妙な表現をしてくれた!って感じで、その体験者である私も声を出して笑ってしまいました。
アトピーに関係ある人もない人もこの本を読むことをお勧めします。
病気はなりたくてなる人はそういないでしょうが、アトピーの大変さはこの本からは多少茶化さなければ伝わらないものだということが、よくわかりました。アトピーは死ぬ(正確には適当でない治療による医源病死だが)、ステロイドは内因性のものがアトピーでは不足、とか根本的な間違った記述もありますが、著者の苦労からすると許されるでしょう。問題は重症も軽症もひっくるめてアトピーとして画一的な治療をする医療、本当の専門家の声が現場に反映されない、日常疾患であるアトピーをビジネスととらえている医療者、非医療者、そして何より悪くしているは、著者がいみじくも繰り返し述べている掻破という行為、です。みんなが困っていて、いろんなやり方が横行するのは、いずれも決定的ではない裏返しで、ステロイドならその至適量の塗布、とか専門家にとっては当たり前のことが行われていなくて、ステロイド是非を云々してもしょうがないでしょう。巡り合う医者で患者の転帰が決まるなんて、日本もまだまだだなあ!
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