このページの情報は 2006年12月20日14時22分 時点のものです。 |
知ってる
竹原 和彦
間違いだらけのアトピー治療
この本の著者は、臨床の医師であり、現時点でのアトピー治療の対症療法の正当性について述べている。最終的な治療は、根治治療であろうと思われる。しかし、アトピー治療では、根治する治療法が存在しない以上、現時点での最上策が、対症療法である主張している。そして、現時点の治療でも、かなり低いレベルでの発症を制御できると主張している。
著者は金沢大学医学部皮膚科教授、多数の著書でステロイドを忌避する新療法の批判を行っている。筆者は長年アトピーに悩まされ、長らくステロイドの外用を行っている。確かに効果はある。しかし少数派の意見(例えば丹羽和幸博士)にあるような副作用、例えばすく内出血する、感情障害がある、などの副作用があるのも事実である。筆者は漢方医療の経験もあり、その効果はステロイドを越えていた。副作用も無かった。確かに著者が「アトピービジネス」で指摘したような患者の弱みにつけこんだインチキ療法(美肌水など)が存在するのも事実である。しかし「代替療法」として押しやられている一部の治療法にも効果が見られることが多い。もっと視野を広げてアトピーの治療法を論じる必要があるのではなかろうか。著者の一連の著作は、一部のインチキ療法を告発すると同時に、数多く存在する本当に効果がある療法をも排除する可能性がある。アトピーは複雑な疾患であり、決め付けは良くない。公平な科学的探究がなされることを期待したい。
アトピーに関する書籍は山ほど出版されているが、意外と科学的データに基づいたものは少ない。著者はまず標準的な治療を正しく行うことで、その殆んどは改善していくと述べている。現代は多様な情報を入手できるが、その真偽を判断しにくい世の中である、この書籍は情報の真偽を冷静に見極めるという意味でも意義深い内容を持っている。 |
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